医療過誤の訴訟は非常に難しいということは皆さんもご存じですよね。
私自身も数年前のことですが、突然激しい腹痛に襲われて夜間救急に運ばれたことがあります。
運ばれたとはいっても、正確には時折襲ってくる激痛と闘いながら何度も止まりながら自分で車を運転して10分ほどの所にある近くのA○○病院に行ったのですが・・・。
生憎、妻が留守で懇意にしている隣近所のお宅の明かりも見えなかったので、やむなく取った緊急措置でした。
冷静な判断など出来る状態にはなかったのです。
夜間救急では、若い女医が検査の資料を手にしながら、「尿管結石の疑いがあるので痛み止めを出しておきますから月曜日に再来院して下さい。」ということで座薬を出してくれました。
駆けつけた妻も私も「盲腸ではありませんか?」と何度も念を押して聞いたのですが、検査の結果を手にしながら「盲腸ではありませんよ!」と言うのです。
その日は金曜日の夜で、土曜日・日曜日と座薬で一時的に痛みは和らいでいました。
月曜日に再度病院へ行きました。
内科で再検査を受けて、再び若い男性の医師から「尿管結石の疑い有り」の診断で泌尿器科へ回され、泌尿器科で痛みのある場所を探りながら「こんなところに尿管はありませんよ」(肛門の中にまで指を入れられました)と・・・。
泌尿器科で始めて、「たらい回しにして申し訳ありませんが、外科の検査を受けて下さい」と非を認めたのか申し訳なさそうに言われる。
外科で色々な検査の一環で「超音波検査」を受けてやっと病名が分かったのです。
「盲腸が破裂していますよ!」
どういうことなのでしょうか?
今の内科の医師は「盲腸」の診断も出来ないのでしょうか?
1時間後に、緊急手術を受けて盲腸の一部を切り取り腹膜炎の併発を免れたようですが、もし診断が早ければ内視鏡手術や薬で散らすなど違う方法があったのではないでしょうか?
後日、知人の医師や何人もの方から、「誤診なので訴えれば良かったのに・・・」という助言を頂いたが、私には治療に差しさわりがあるのではないかという危惧があったので出来なかったのです。
医師は患者に対して主従関係とでもいうべき絶対的な力を持った存在です。
患者は不安と痛みなどで冷静な判断が出来ないものです。
医師の普段の研鑽を願ってやみません。
以下、HaffPostからの抜粋です。
弁護士ドットコム トピックス編集部 | 執筆者: 弁護士ドットコム
投稿日: 2014年01月13日 13時13分 JST | 更新: 2014年01月13日 13時13分 JST
患者側の「勝訴率」はわずか2割 「医療過誤訴訟」はなぜ難しいのか?
命にかかわる病気で、もし家族が誤診されたら――。妻(当時28歳)が死亡したのは、救急搬送された診療所で誤診された結果だとして、夫(31歳)が昨年12月、診療所の男性院長などを相手取って計約9000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。
報道によると、妻は昨年8月、激しい腹痛を訴え、東京都内の診療所へ搬送された。治療にあたった男性院長は「急性胃炎、過呼吸症候群」と診断して処置したが、女性は翌朝死亡した。行政解剖で、死因は「子宮外妊娠破裂による腹腔内出血」だったと分かった。遺族側は、妻の妊娠のことは救急隊員を通じて医師に伝わっていたのに、医師が超音波検査などをしなかったため死亡したと主張している。
最高裁の資料によると、医療過誤の民事訴訟は年間、約800件に上る。高い専門性が必要なため、通常の民事裁判よりも審理に時間がかかる。さらに訴えた患者側の主張が通る勝訴率は、約2割にすぎない。通常の裁判では8割だから、医療過誤で裁判を起こすには、極めて厳しい覚悟が必要になるようだ。しかし、それでも患者本人や残された遺族は、医師の謝罪を求め、何が起こったかを知りたいがために提訴する。
なぜ、患者側が勝訴することが難しいのか。裁判では、誰がどのように医療ミスを立証していくのか。医療訴訟にくわしい浅尾美喜子弁護士に聞いた。
●過失が明らかな事案は「示談」になりやすい
「医療過誤事件においては、患者側の弁護士は、訴訟にする前に医療機関側と話し合いの機会を持つのが通常です。医療機関側の過失が明らかな事案では、この話し合いの段階で、医療機関が自らの過失を認めて示談にする例がほとんどです。
つまり、医療機関側の過失が相当程度明らかな場合は、訴訟にはならず、訴訟前和解(=示談)で解決されるということです。
したがって、訴訟にあがってくる案件は、必然的に過失の有無が明らかではない、立証が困難な案件と言うことになります。これが、医療事件で、患者側の勝訴率が低くなる理由の1つです」
浅尾弁護士はこのように指摘する。医療事件の裁判は、一般事件の裁判と何か違いがあるのだろうか?
「まず、医療事件における過失は、『一般の方が考える過失』とは微妙に異なります。たとえば、治療が奏効しなかったとしても、その治療が標準的な治療水準に達していれば、過失が認められないケースも多々あります。
また、医療行為は専門性が高いので、過失の立証が通常事件より難しい、といった問題もあります。
さらに、医療機関側の過失は原告(患者側)が立証しなければなりませんが、一般的に医師は医師をかばう傾向があり、過失があったと証言してくれる医師を見つけることは、至難の業です」
浅尾弁護士はこのように医療訴訟の特徴を指摘したうえで、「医療事件で患者側の勝訴率が低くなるのは、医療がきわめて専門的で閉鎖性が高い分野だから、という側面があります」と話していた。
(弁護士ドットコム トピックス)